賞味期限は、製造日から期限までの期間が3ヶ月を超える食品に限り「年月」表示が認められている。3ヶ月以内の食品と、消費期限を表示する食品(弁当・調理パンなど品質が急速に劣化するもの)は、年月日での表示が必要になる。期限そのものは品目横断の統一基準がなく、事業者が科学的・合理的根拠にもとづいて自社で設定する。
「賞味期限は年月表示でいいのか、年月日まで書くべきか」は、食品を扱う事業者から繰り返し聞かれる質問だが、答えは商品の保存期間で変わる。この記事では、食品表示基準における期限表示のルールを整理し、食品ECの現場で判断に迷いやすい点を扱う。
消費期限と賞味期限の違い
期限表示には2種類あり、対象になる食品の性質が異なる。
| 区分 | 対象食品の例 | 年月表示の可否 |
|---|---|---|
| 消費期限 | 弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、生めん類など、品質が急速に劣化しやすい食品 | 不可(年月日表示のみ) |
| 賞味期限 | スナック菓子、即席めん類、缶詰など、品質の劣化が比較的穏やかな食品 | 製造日から期限まで3ヶ月を超える場合のみ可 |
消費期限は「安全に食べられる期限」、賞味期限は「おいしく食べられる期限」という位置づけの違いがあり、消費期限を表示する食品は簡略化した年月表示が認められていない。
「年月」表示が認められる条件
賞味期限のうち、年月表示が認められるのは次の条件を満たす場合に限られる。
- 製造日から賞味期限までの期間が3ヶ月を超えること
- 「賞味期限」である旨の文字を冠したうえで、年月の形式で表示すること
3ヶ月以内の商品は、年月日での表示が必要になる。冷凍食品や常温保存が効く加工食品の多くは3ヶ月を超えるため年月表示の対象になりやすいが、実際に何ヶ月保存できるかは商品ごとの科学的な検証結果次第で、一律には決まらない。
年月表示にするときの書き方
年月表示を使う場合、期限日をそのまま月だけ切り出すのではなく、安全側に切り捨てる必要がある。
- 年月日表示の例:「2027年4月1日」
- 年月表示の例:「2027年4月」(この場合、期限は4月末日までと解釈される)
切り捨ての考え方は、実際の期限日が属する月の前月を表示するというものになる。たとえば製造日から数えて品質保持期間が100日で、実際の期限日が「7月18日」になる場合、年月表示では「6月」と表示する。これは、年月表示によって実際の期限より長く見えてしまうことを防ぐための安全側のルールで、逆に「7月」と表示すると、実質的に期限を延長して見せることになり不適切になる。
期限設定そのものに統一基準はない
「賞味期限は何日にすればいいか」という基準そのものは、品目横断で統一されたルールが存在しない。事業者が食品の特性に応じて、次のような検証から科学的・合理的な根拠にもとづき自ら設定する。
- 微生物試験(保存中の菌数の変化を調べる)
- 理化学試験(酸化・水分変化などを数値で調べる)
- 官能検査(実際に食べて風味・食感の変化を確認する)
これらの試験結果から、安全係数(実際に品質が保たれる期間に、安全マージンを掛けた係数)をかけて期限を設定するのが一般的な考え方とされている。なお、かつて義務づけられていた製造年月日の表示は、現在は廃止されており、期限表示に一本化されている。
食品ECの実務で論点になりやすい点
- OEMで製造委託している場合:期限設定の科学的根拠を、委託先メーカーがどのように保有・管理しているかを契約前に確認しておく必要がある。根拠資料がないまま自社の判断だけで期限を延ばすことはできない
- リニューアルによる保存期間の変更:レシピや包材を変更すると、それに伴って賞味期限も再検証が必要になる場合がある。パッケージ変更のたびに期限表示が古いままになっていないか確認する
- 商品ページ上の表示との整合性:ECの商品ページに具体的な期限日数(「賞味期限90日」等)を記載する場合、実際のロットの表示と食い違わないよう、更新の運用を決めておく
なお、ECサイトの商品ページ自体に食品表示を載せる法的義務があるかどうかは、この記事で扱う容器包装の期限表示ルールとは別の論点になる。その点は食品ECの商品ページと食品表示|法律上は義務外。それでも載せるべき3項目で扱っている。
よくある質問
賞味期限はいつから「年月」表示にできますか?
製造日から賞味期限までの期間が3ヶ月を超える場合に、年月表示が認められます。3ヶ月以内の場合は年月日での表示が必要です。
消費期限も年月表示にできますか?
できません。消費期限は品質が急速に劣化する食品(弁当・調理パン・そうざい・生菓子類・生めん類など)を対象にしており、年月日表示のみが認められています。
賞味期限はどうやって決めればいいですか?
品目横断で統一された基準はなく、事業者が微生物試験・理化学試験・官能検査などをもとに、科学的・合理的な根拠にもとづいて自ら設定します。OEMで製造委託している場合は、委託先が保有する試験データの有無を確認してください。
製造年月日の表示は必要ですか?
製造年月日の表示義務は廃止されており、現在は期限表示(消費期限または賞味期限)への表示に一本化されています。
賞味期限表示を誤って記載した場合、罰則はありますか?
食品表示基準に違反する表示は、行政指導・命令の対象になり得ます。具体的な措置は違反の内容や程度によって異なるため、表示に不安がある場合は事前に管轄の保健所や専門家に確認することをおすすめします。
ECの商品ページにも同じ期限表示のルールが適用されますか?
この記事で扱う期限表示のルールは、容器包装への表示を対象にした食品表示基準にもとづくものです。ECの商品ページ自体への表示義務は別の論点になるため、食品ECの商品ページと食品表示もあわせてご確認ください。
まとめ
- 賞味期限は製造日から3ヶ月を超える場合のみ「年月」表示が認められる
- 消費期限(急速に劣化する食品)は年月日表示のみで、簡略化はできない
- 年月表示にする場合は、期限日が属する月の前月を表示する(安全側への切り捨て)
- 期限設定そのものに統一基準はなく、事業者が科学的根拠にもとづき自ら設定する
- OEM委託・リニューアル時は、期限の再検証と表示の更新運用を仕組み化しておく
食品表示・商品ページ設計についてのご相談は、EC運営代行・コンサルティングで対応しています。支援範囲によって内容が変わるため、費用は個別見積りとなります。
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出典
※本記事は公的機関が公表している情報にもとづいて整理していますが、期限設定・表示の判断は個別の商品特性によって異なります。実際の表示にあたっては、管轄の保健所や食品表示の専門家にご確認ください。





