「リピート率」は、食品ECの利益構造を決める指標の一つ。新規顧客の獲得コストが上がり続けるなか、同じ広告予算でも「一度買ってもらったお客様に、もう一度買ってもらえるか」で店舗の収益性は大きく変わる。結論から言うと、食品ECのリピート率は業界平均で15〜18%程度(フォロー施策なしの場合)にとどまりやすい一方、健康食品やスーパー的な消耗品では30〜50%まで引き上げている店舗もある。計算式自体はシンプルだが、「何を1回とカウントするか」の設計と、購入後の接触設計で差がつく。
リピート率とは|計算式
リピート率は、一定期間内に商品を購入した顧客のうち、再度購入した顧客の割合を指す。基本の計算式は次のとおり。
リピート率(%)= リピート購入した顧客数 ÷ 総購入顧客数 × 100
例えば、ある期間に100人が新規購入し、そのうち20人が再購入した場合、リピート率は20%となる。似た指標に「リピーター率」があるが、こちらは「その期間の購入者全体のうち、既存顧客が占める割合」を指すことが多く、定義が混同されやすいため、社内やレポートで使う際は必ず計算式をセットで共有しておくと事故が少ない。
食品ECの平均リピート率の目安
業界別のリピート率は、購入後のフォロー施策の有無で大きく変わる。目安は以下のとおり【出典に基づく一般的な水準・店舗によって差がある】。
| 条件・業態 | リピート率の目安 |
|---|---|
| 購入後フォローなしのEC平均 | 15〜18% |
| フォロー施策ありのEC平均 | 30〜40% |
| 健康食品・化粧品(消耗品系) | 約50% |
| スーパーマーケット系 | 30〜50% |
| アパレル | 約35% |
食品は本来「消耗品」であり、健康食品やスーパーに近い高いリピート率を狙える市場性を持つ。それでも実際には家電やアパレル並みの低い水準にとどまっている店舗が多いのは、購入後の接触設計が手薄なケースが多いため【推測】。
食品ECでリピート率が伸び悩む理由
- ギフト・単発需要の比率が高い:季節ギフトや贈答需要で流入した顧客は、そもそも自分用のリピート需要につながりにくい。
- 賞味期限・在庫サイクルとの不一致:「なくなったら買う」という消耗品的な再購入導線が、モール側の通知機能だけでは作りにくい。
- 購入後の接触が1回で終わっている:受注メール以降、何も接触せずに終わっている店舗が多い。
食品ECでリピート率を上げる具体策
1. 購入後のタイムラインに沿った接触を設計する
購入直後は「美味しい食べ方・保存方法」など満足度を高める情報を送り、2回目購入が見込めるタイミング(消費が進む頃)でクーポンや再購入導線を送る、という時間軸での接触設計が基本になる。1回きりのサンクスメールで終わらせず、最低でも「直後」「消費タイミング」の2段階を用意したい。
2. 同梱物で「もう一度買う理由」を残す
次回使えるクーポンやQRコードを同梱物として届けると、荷物を開けた瞬間に再購入の接点が生まれる。ポイントは、割引率よりも「使う理由(期限・きっかけ)」を明確にすることにある。
3. フォロー・会員登録などのCRM接点を増やす
各モールが提供するフォロー機能・会員ランク制度・ポイント制度を活用し、購入後もメッセージやクーポンを届けられる関係を作っておく。フォロー施策の有無だけで平均リピート率が2倍前後変わるというデータもあり、優先度の高い投資先になる。
4. 定期購入・まとめ買いの導線を用意する
消費ペースが読める商品(調味料・冷凍食品・米など)は、定期便やまとめ買いセットを用意することで、そもそも「リピートする / しない」の意思決定自体を減らせる。
5. 誕生日・記念日など「機械的に再接触できる」施策を仕込む
顧客データに基づくお祝いメッセージとクーポンは、店舗側の工数をあまり増やさずに再接触の母数を増やせる、費用対効果の高い施策になりやすい。
なお、SNS経由の販売では「フォロー」や「LIVE」など、モールごとに異なるリピーター向け機能が用意されている。食品カテゴリーでのTikTok Shop側の設計については、関連記事のライブコマースとは?2026年の実態と食品での勝ち筋もあわせて参照してほしい。
客単価とあわせて見る
売上は「客数 × 客単価 × リピート率(購入頻度)」の掛け算で決まる。客単価の上げ方は別記事の客単価とは?計算方法と、食品ECで客単価を上げる具体策で解説している。リピート率と客単価は互いにトレードオフになる場面もあるため、両方を同じダッシュボードで見ておくことをおすすめする。
モールをまたいで客単価・リピート率を横断管理したい場合は、モール横断のEC運営代行サービスもあわせて検討してほしい。
まとめ
食品ECのリピート率は「リピート購入した顧客数 ÷ 総購入顧客数 × 100」で計算でき、フォロー施策の有無だけで平均値が2倍前後変わる。消耗品としての性質を活かせば、健康食品やスーパー並みの30〜50%圏を狙うことも不可能ではない。まずは購入後の接触を「直後」「消費タイミング」の2段階に分け、同梱物とCRM施策で再購入の理由を機械的に作るところから着手したい。





