原価率の計算式|売上原価の求め方と、食品ECで「原価率30%」でも利益が残らない理由

円グラフで売上に占める原価の割合を表したイラスト

原価率の計算式は「売上原価 ÷ 売上高 × 100(%)」で、売上原価は「期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高」で求める。食品ECでは、原価率30%の商品でも、モール手数料と送料を引くと手元に残るのは販売価格の約40%まで下がり、広告費を回収できる水準(損益分岐ROAS)が決まる。

原価率は、会社全体・商品単位・目標売価の逆算と、使う場面で計算の入口が変わる。この記事では3つの計算式を例題つきで示し、食品ECで原価率だけを見て価格を決めると利益が残らなくなる理由を、手数料・送料込みの試算で確認する。販売価格から粗利を求める考え方は粗利率の計算式で扱っている。

食品ECの運営代行・コンサルティング|ガストロ(GastroduceJapan)
監修者

若松 友貴

Gastroduce Japan株式会社 代表取締役社長

一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社Gastroduce Japan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。

原価率の計算式(会社全体)

原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100

売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高

期首棚卸高は期の初めの在庫金額、当期仕入高は期中に仕入れた商品の金額、期末棚卸高は期末に残った在庫金額を指す。

例:期首棚卸高100万円 + 当期仕入高500万円 − 期末棚卸高200万円 = 売上原価400万円。売上高が1,000万円(仮定)なら、原価率は400万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 40%。

原価率の計算式(商品単位)

商品の原価率(%)= 1個あたりの原価 ÷ 販売価格 × 100

例:販売価格3,980円、1個あたりの原価1,194円の場合、原価率は1,194 ÷ 3,980 × 100 = 30.0%。粗利は3,980 − 1,194 = 2,786円(粗利率70.0%)で、原価率と粗利率を足すと必ず100%になる。

食品では、仕入原価に加えて、カット・加工で目減りする分(歩留まり)も原価に反映する必要がある。考え方は’+a(T[‘butomari-ritsu-genka-keisan-food-ec’].link,’歩留まり率とは’)+’で扱っている。

目標原価率から販売価格を逆算する

販売価格 = 1個あたりの原価 ÷ 目標原価率

  • 原価1,194円、目標原価率30%:1,194 ÷ 0.30 = 3,980円
  • 原価850円、目標原価率35%:850 ÷ 0.35 = 2,428.6円 → 切り上げて2,429円

原価に何を含めるかを先に決める

一般的な会計では、商品の仕入原価・製造原価が売上原価で、モール手数料・広告費・発送費(送料)などは販売費として分けて扱う。ただし商品別の採算を見る管理会計では、送料や梱包資材を商品ごとに配賦して見る会社もある。どの範囲を「原価」と呼ぶかは社内で統一しておかないと、担当者ごとに原価率の数字が食い違い、価格判断がずれる。

食品ECで「原価率30%」でも利益が残らない理由

販売価格3,980円の商品で、次の仮定を置いて原価率ごとに試算する。モール手数料は販売価格の10%(398円)、クール便の送料負担は800円とする(いずれも説明用の仮定で、実際の手数料率・送料はモールや契約によって異なる)。

原価率 原価 手数料(10%) 送料 広告費を引く前の残り 残りの比率 損益分岐ROAS
25% 995円 398円 800円 1,787円 44.9% 約2.23
30% 1,194円 398円 800円 1,588円 39.9% 約2.51
35% 1,393円 398円 800円 1,389円 34.9% 約2.87
40% 1,592円 398円 800円 1,190円 29.9% 約3.34

損益分岐ROASは「販売価格 ÷ 広告費を引く前の残り」で計算している(原価率30%の行:3,980 ÷ 1,588 = 約2.51)。原価率が5ポイント上がるごとに、広告費を回収するために必要な売上は大きく増える。ROASの考え方は’+a(T[‘roas-benchmark-food-ec’].link,’ROASの目安’)+’で詳しく扱っている。

手数料や送料を自社の条件で置き換えて試算したい場合は、’+a(‘https://gastroduce-japan.co.jp/food-ec-profit-simulator/’,’食品EC 利益シミュレーター’)+’が使える。モールごとの手数料は’+a(T[‘rakuten-store-opening-fees’].link,’楽天市場の出店手数料’)+’・’+a(T[‘tiktok-shop-fee’].link,’TikTok Shopの手数料’)+’・’+a(T[‘amazon-selling-fees-food-category’].link,’Amazonの販売手数料’)+’で確認できる。

掛率との関係

卸取引の掛率(下代 ÷ 上代)は、上代を基準にした仕入側の原価率にあたる。上代3,980円で6掛なら仕入価格は3,980 × 0.6 = 2,388円、上代基準の原価率は60%。この水準でモール手数料と送料を引くと利益が残らないケースが多い(’+a(T[‘what-is-wholesale-rate’].link,’掛率とは’)+’)。

よくある質問

原価率の計算式を教えてください。

原価率(%)は「売上原価 ÷ 売上高 × 100」で求めます。売上原価は「期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高」で計算します。商品単位では「1個あたりの原価 ÷ 販売価格 × 100」です。

原価率と粗利率はどんな関係ですか?

原価率と粗利率を足すと100%になります。原価率30%なら粗利率は70%です。粗利率の計算式は粗利率の記事で解説しています。

原価率の目安は何%ですか?

業種横断で使える共通の公的基準は、今回の調査では確認できませんでした(定量データなし)。モール手数料・送料・広告費を引いて残る利益から逆算し、自社の損益分岐ROASを出してから目標原価率を決めるのが実務的です。

送料やモール手数料は原価率に含めますか?

一般的な会計では売上原価には含めず、販売費として別に扱います。商品別の採算管理では送料を含めて見る会社もあるため、社内で定義を統一しておくことが重要です。

目標原価率から販売価格を計算するには?

「1個あたりの原価 ÷ 目標原価率」です。原価850円、目標原価率35%なら850 ÷ 0.35 = 2,429円(切り上げ)です。

原価率が高いときは何から見直しますか?

仕入・製造原価の見直し、歩留まりの改善、セット販売による販売価格の引き上げが主な選択肢です。まず商品別に原価率を出して、手数料・送料込みで残る利益が最も小さい商品から見直します。

まとめ

  • 原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 × 100、売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高
  • 商品単位は「原価 ÷ 販売価格」、売価の逆算は「原価 ÷ 目標原価率」で出せる
  • 手数料10%・送料800円の仮定では、原価率30%の商品は広告費を引く前に約40%しか残らず、損益分岐ROASは約2.51
  • 原価に含める範囲を社内で統一し、利益シミュレーターで自社条件の損益分岐ROASを確認する

モール別の手数料・送料を踏まえた価格設計や広告運用の相談は、モール横断のEC運営代行サービスから受け付けている。費用は支援範囲によって変わるため、個別見積りとなる。

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出典

※原価率の定義式と販売費の扱いは一般的な会計の考え方にもとづく。試算の手数料率・送料は説明用の仮定で、実際の費用はモール・契約・配送条件によって異なる。会計処理や税務の判断は、税理士などの専門家にご確認ください。

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