楽天RPP広告は、楽天市場の検索結果などに商品を出すクリック課金型の広告です。2025年11月1日に全店舗が自動最適化へ完全移行し、CPCの設定方法が「固定」から「上限」方式に変わりました。設定可能な上限CPCの下限は20円、最低月予算は5,000円です。
仕様が変わったことで、運用の勘所も「入札単価を細かく刻む」から「上限と予算の枠をどう決めるか」に移りました。この記事では、RPPの仕組みを整理したうえで、食品店舗が自社の粗利率から入札設計を組み立てる手順を扱います。
楽天RPP広告とは
RPPは Rakuten Promotion Platform の略で、楽天市場が提供する検索連動型のクリック課金(CPC)広告です。楽天の公式説明によれば、ユーザーの検索キーワードに対し、楽天が持つ購入データや閲覧データを用いてマッチした商品を選定し、検索結果をはじめとした楽天市場内外のさまざまな掲載面に配信します。
課金はクリックされたときにのみ発生します。表示だけでは費用がかからないため、露出を増やすこと自体にリスクはありません。
掲載枠
検索結果の上部に広告枠が確保されています。枠数は2024年11月ごろに拡大され、現在はPCで上位5枠、スマートフォン・アプリで上位7枠です(従来はPC4枠・スマホ6枠)。
つまりスマートフォンでは、検索結果のファーストビューがほぼ広告枠で埋まる構造になっています。自然検索だけで上位を取ろうとしても、そもそもユーザーの目に入る位置が限られるということです。楽天の自然検索側の設計は楽天SEO対策の実務で扱っています。
2025年11月の自動最適化完全移行で変わったこと
RPPは2025年7月に自動最適化機能がリリースされ、2025年11月1日に全店舗への移行が完了しました。運用上の変更点は次のとおりです。
| 項目 | 移行前 | 移行後 |
|---|---|---|
| CPCの設定 | 固定方式(設定した単価で入札) | 上限方式(上限内でAIが自動調整) |
| 設定可能な最低CPC | 10円 | 20円(上限CPCの下限) |
| 対象 | — | キャンペーンCPC・商品別CPC(キーワード別CPCは手動のまま) |
| 最低月予算 | 5,000円 | 5,000円 |
上限CPCを30円に設定した場合、実際のクリック単価はその枠内で変動します。「上限=必ず払う額」ではない点が、移行前との最大の違いです。上限を低く抑えすぎると配信機会そのものを失うため、下げれば安く済むという単純な関係ではなくなりました。
なお、キーワード別CPCは自動最適化の対象外で手動設定のままです。1商品あたりに登録できるキーワード数の上限も拡大されています。
食品カテゴリのCPC感
カテゴリによってクリック単価の水準は大きく異なります。公開情報で示されているキャンペーンCPCの目安は次のとおりです。
| カテゴリ | CPCの目安 |
|---|---|
| 食品・グルメ | 20〜30円 |
| 日用品・生活雑貨 | 20〜30円 |
| アパレル・ファッション | 30〜80円 |
| コスメ・美容 | 40〜100円 |
食品は相対的にCPCが低いカテゴリです。ただし客単価も低く、送料が重いため、CPCが安いこと自体が有利を意味するわけではありません。判断は必ずROASで行います。
入札と予算は「損益分岐ROAS」から逆算する
RPPの運用でまず決めるべきは、CPCではなくその商品の損益分岐ROASです。式は一本です。
- 損益分岐ROAS(%)= 1 ÷ 粗利率 × 100
ここで使う粗利率は、原価だけを引いたものではありません。楽天のシステム利用料・ポイント原資・アフィリエイト手数料・送料・梱包資材まで引いた後の粗利率です。
例として、売価4,980円・原価1,800円の常温ギフト商品で計算します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売価 | 4,980円 |
| 原価 | ▲1,800円 |
| モール関連費用(システム利用料・ポイント原資・アフィリエイト等、合計13%と仮定) | ▲647円 |
| 送料・梱包資材 | ▲850円 |
| 粗利 | 1,683円 |
| 粗利率 | 33.8% |
| 損益分岐ROAS | 約296% |
この商品はROAS296%を下回ったら赤字です。広告で売上の10%を利益として残したいなら、目標ROASは400%前後に置くことになります。
CPCの上限は、ここから逆算できます。目標ROAS400%・売価4,980円なら、1件の注文にかけられる広告費は4,980 ÷ 4 = 1,245円。CVRが2%なら、1件の注文に必要なクリックは50回なので、許容CPCは1,245 ÷ 50 = 約25円。食品カテゴリの目安レンジに収まります。
逆にCVRが1%しか出ていない商品では許容CPCが約12円まで落ち、上限CPCの下限20円を下回ります。この場合、入札で解決する道はありません。商品ページを直してCVRを上げるか、客単価を上げるか、その商品への出稿自体をやめるかの三択です。
自社の商品で同じ計算をする場合は、食品EC 利益シミュレーターに原価・送料・手数料を入れて粗利率と損益分岐ラインを確認できます。
RPPを出す前に整えるべきこと
RPPはあくまで露出を買う仕組みで、買われる理由をつくる仕組みではありません。以下が整っていない状態で出稿すると、クリック課金だけが積み上がります。
1|第一画像(CTRを決める)
広告枠に出ても、クリックされなければ意味がありません。楽天は商品画像のガイドラインが定められており、サイズや文字要素にルールがあります。詳細は楽天の商品画像サイズは700×700px以上|ガイドライン4ルールを参照してください。
2|商品名とキーワード(そもそも何で出るか)
RPPは検索キーワードと商品情報のマッチングで配信されます。商品名・商品説明・商品属性が整理されていない商品は、意図しないキーワードで表示され、CTRもCVRも下がります。
3|レビューと価格(CVRを決める)
同じ検索結果に並ぶ競合と比べて、レビュー件数・評価・価格・送料条件のいずれかで劣っていれば、広告枠に出てもCVRは上がりません。送料無料ライン3,980円をまたぐかどうかも、CVRに直接効きます。
4|在庫
広告配信中の在庫切れは、広告費を捨てるだけでなく、キャンセル率の悪化によって店舗評価にも響きます。配信前に必ず在庫を確認してください。
当社が運用で確認している挙動
当社が食品カテゴリの楽天店舗を運用している範囲では、次の傾向を確認しています(2026年9月時点。商材・価格帯・競合状況により差があります)。
- CTRが2%を下回る商品は、上限CPCを上げても費用対効果が改善しにくい。第一画像と商品名を直すほうが先に効きます。
- CVRが1〜3%の範囲に入っていない商品は、広告を止めて商品ページの改善に戻したほうが早い。
- 全商品に薄く配信するより、売れている数商品に予算を集中したほうがROASは安定しやすい。
これは当社の運用実績に基づく社内の判断基準であり、楽天が公表している数値ではありません。仕様や最適な運用は改定によって変わるため、最新の情報は楽天の公式情報(RMS内のお知らせ・ヘルプ)で必ずご確認ください。
よくある質問
楽天RPP広告とは何ですか?
楽天市場の検索結果などに商品を掲載するクリック課金型の検索連動型広告です。ユーザーの検索キーワードに対し、楽天の購入データ・閲覧データをもとにマッチした商品が選定されて配信され、クリックされたときにのみ広告費が発生します。
RPP広告の最低予算とCPCはいくらですか?
最低月予算は5,000円から設定できます。CPCは2025年11月の自動最適化完全移行により上限方式となり、設定可能な上限CPCの下限は20円です(キャンペーン・商品別の場合)。実際のクリック単価はその上限の範囲内で自動調整されます。
自動最適化で何が変わりましたか?
CPCの設定が「固定方式」から「上限方式」に変わりました。設定した上限の範囲内でAIがクリック単価を自動調整します。対象はキャンペーンCPCと商品別CPCで、キーワード別CPCは従来どおり手動設定です。2025年11月1日に全店舗への移行が完了しています。
RPP広告のROASはどのくらいを目指すべきですか?
一律の目安はありません。損益分岐ROAS = 1 ÷ 粗利率 × 100 で商品ごとに計算します。食品ECでは送料・クール便・モール関連費用まで引いた粗利率を使うことが重要で、原価だけで計算すると基準を大幅に低く見積もることになります。
食品カテゴリのCPC相場はいくらですか?
公開情報で示されている食品・グルメのキャンペーンCPCの目安は20〜30円で、アパレルやコスメに比べると低い水準です。ただし食品は客単価が低く送料負担が重いため、CPCが安いこと自体が有利を意味するわけではありません。許容CPCは自社の粗利率とCVRから逆算してください。
RPPを出しても売れないのはなぜですか?
多くの場合、原因は広告設定ではなく商品ページ側にあります。クリックされないならば第一画像と商品名、クリックされるのに売れないならばレビュー・価格・送料条件・商品説明が原因です。CTRとCVRのどちらが低いかを切り分けてから対処してください。
まとめ
- RPPは楽天市場の検索連動型・クリック課金広告。掲載枠はPC上位5枠、スマホ・アプリ上位7枠。
- 2025年11月1日に自動最適化へ全店舗移行。CPCは上限方式になり、上限CPCの下限は20円、最低月予算は5,000円。
- 入札は勘ではなく、損益分岐ROAS(1 ÷ 粗利率)から許容CPCを逆算して決める。
- 食品カテゴリのCPC目安は20〜30円。ただし客単価と送料を含めて判断する。
- CTRが低いなら第一画像、CVRが低いなら商品ページ。広告の前に土台を整える。
楽天市場の広告運用と商品ページ改善をまとめて設計したい場合は、楽天市場 運用支援サービスをご覧ください。支援範囲によって内容が変わるため、費用は個別見積りとなります。
関連記事
- ROASの目安は「業界平均」では決まらない|損益分岐ROASの出し方と食品ECの基準
- 楽天SEO対策の実務|商品名だけでは頭打ち。検索の「絞り込み」で露出面を増やす
- 楽天の商品画像サイズは700×700px以上|ガイドライン4ルールと、第一画像で売上を動かす設計
- 楽天の送料無料ライン3,980円|食品店舗が「送料負け」しないための設計
出典
- 楽天メーカーソリューションナビ「検索連動型広告」(RPPの仕組み・クリック課金型である旨/2026年9月確認)
- Nint「楽天RPP広告とは|仕組み・CPC相場・改善7選【2026年版】」(自動最適化移行、上限CPC、カテゴリ別CPC目安)
- ジャグー「【2026年】楽天RPP広告とは?設定方法や成果が出た運用11のコツ」(2025年11月1日の全店舗移行完了、掲載枠数、最低月予算)
- 楽天市場「月額コストと手数料の詳細」(出店プラン別の費目構成/2026年9月確認)
※RPPの仕様・料率は改定されます。最新の内容は楽天の公式情報(RMS内のお知らせ・ヘルプ)を必ずご確認ください。





