オープン価格とは、メーカーが「希望小売価格(メーカー希望小売価格・定価)」をあらかじめ設定しない価格方式のこと。家電や化粧品でよく使われる仕組みだが、食品でも一部のギフト商品やPB(プライベートブランド)商品で採用されることがある。オープン価格の商品は「参考価格」を基準にした値引き訴求ができないため、モールでの価格表示・セール訴求の作り方を誤ると景品表示法の二重価格表示規制に触れるおそれがある。
オープン価格とは|メーカーが定価を決めない方式
通常、メーカーは商品ごとに「メーカー希望小売価格」を設定し、小売店はそれを基準に「〇%オフ」「定価より〇円引き」といった値引き訴求を行う。これに対してオープン価格は、メーカーが希望小売価格そのものを設定せず、各小売店が独自に販売価格を決める方式。家電量販店の価格競争が激しくなった1990年代以降、「定価」表示があっても実売価格が大きく下回っているという不透明さを解消する目的で広がった経緯がある。
定価・希望小売価格との違い
- 定価:メーカーが定めた販売価格で、原則としてどの店舗でもその価格で販売される(再販売価格維持制度が適用される新聞・書籍等に多い)。
- 希望小売価格(メーカー希望小売価格):メーカーが「この価格での販売を想定している」として提示する参考価格。法的な拘束力はなく、小売店は自由に価格を決められる。
- オープン価格:メーカーが希望小売価格すら提示しない方式。小売店側が独自に販売価格を設定するため、店舗ごとに価格が異なるのが前提になる。
なぜ食品メーカーがオープン価格を採用するのか
食品でオープン価格が使われる主な理由は次の通り。
- モールごとの価格差による炎上リスクを避けられる:楽天・Amazon・Yahoo!・自社ECで希望小売価格を統一していると、値引き幅の違いが「あの店の方が高い」という比較を招きやすい。オープン価格であれば、そもそも比較基準となる定価が存在しないため、この種の摩擦を避けやすい。
- 季節・ギフト需要に応じた価格設定がしやすい:母の日・お歳暮などの季節商戦では、パッケージや内容量を変えたギフトセットを都度企画することが多く、その都度メーカー希望小売価格を設定し直す手間を省ける。
- PB(プライベートブランド)商品との相性:小売店・モール側の意向で価格が決まるPB商品は、そもそもメーカー主導の希望小売価格になじまない。
オープン価格の商品は「参考価格」表示に要注意
オープン価格の商品には、比較対象となる「正規の価格」が存在しない。にもかかわらず、モールの商品ページで根拠のない「参考価格」「通常価格」を表示し、それより安く見せる二重価格表示を行うと、景品表示法上の「有利誤認表示」に問われるおそれがある。二重価格表示が許容されるのは、その価格で実際に販売していた実績(一般的には8週間のうち過半数の期間など)がある場合に限られる。オープン価格品で値引き訴求を行いたい場合は、「メーカー希望小売価格」ではなく「当社通常価格」を基準にし、その価格で一定期間販売していた実績を残しておくのが安全な運用になる。
食品ECでの値引き訴求の実務
- 「当社通常価格」の実績を残す:セール前に、実際にその価格で販売していた期間・実績のスクリーンショットやレポートを保存しておく。
- クーポン・ポイント還元での訴求に寄せる:価格そのものを二重表示するより、クーポン割引率やポイント還元率を訴求する方が、比較対象となる「元の価格」をめぐるリスクを避けやすい。
- モールごとに価格が違うことを前提にした説明を用意する:オープン価格である旨を商品ページやFAQに明記しておくと、価格差についての問い合わせに対応しやすくなる。
まとめ
オープン価格は、メーカーが希望小売価格を設定しない価格方式で、モール間の価格差トラブルや季節商品の価格設定の手間を減らせる一方、比較対象となる「定価」が存在しないため、根拠のない参考価格表示は景品表示法の二重価格表示規制に触れるリスクがある。値引き訴求を行う場合は、「当社通常価格」としての販売実績を残したうえで表示することが基本になる。
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よくある質問
オープン価格とは何ですか?
メーカーが希望小売価格(定価)を設定せず、小売店側が独自に販売価格を決める方式のこと。
オープン価格と希望小売価格は何が違いますか?
希望小売価格はメーカーが参考として提示する価格だが法的拘束力はない。オープン価格はその提示自体を行わない方式。
オープン価格の商品で「〇%オフ」と表示してよいですか?
根拠のない参考価格・通常価格を比較対象にすると景品表示法の二重価格表示規制に触れるおそれがある。実際にその価格で一定期間販売していた実績が必要になる。
なぜ食品メーカーがオープン価格を採用するのですか?
モールごとの価格差トラブルを避けやすく、季節商戦向けのギフト企画で価格設定を都度柔軟に行える点が主な理由になる。
オープン価格とPB(プライベートブランド)商品は関係がありますか?
PB商品は小売店・モール側の意向で価格が決まることが多く、メーカー主導の希望小売価格になじまないため、オープン価格と相性がよいとされる。
オープン価格品の値引き訴求で安全な方法は何ですか?
「当社通常価格」としての販売実績を残したうえで、その価格を基準に比較表示するのが基本的な安全策になる。





