HACCPとは|食品ECが知る衛生管理の義務化対応

HACCPに沿った衛生管理 のイメージ図

HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理は、2020年6月1日から食品の製造・加工・調理等を行うすべての食品等事業者に義務化されている制度です。事業規模に応じて「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の2区分があり、食品ECに関わる事業者がどちらに該当しうるかを押さえておくことが実務対応の第一歩になります。本記事では制度の概要と、食品EC事業者が確認すべきポイントを整理します。

食品ECの運営代行・コンサルティング|ガストロ(GastroduceJapan)
監修者

若松 友貴

GastroduceJapan株式会社 代表取締役社長

一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。

HACCPに沿った衛生管理の概要と制度化の背景

HACCPは、原材料の受け入れから製造・出荷に至る工程で、食品事故につながる危害要因をあらかじめ分析し、重要な管理点を継続的に監視・記録する衛生管理の手法です。食品衛生法の改正により、令和2年6月1日から、食品の製造・加工・調理等を行う全ての食品等事業者に対してHACCPによる衛生管理が義務化されました。

「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の違い

制度上、事業者は次の2区分のいずれかに整理されます。

HACCPに基づく衛生管理は、と畜業者や食鳥処理業者など、事業の規模や業態を考慮して対象とされる事業者が実施するものです。コーデックスのガイドラインに基づき、7原則に沿った本格的な衛生管理計画の策定が求められます。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は、小規模事業者、小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者、提供する食品の種類が多く変更頻度が頻繁な業種、一般衛生管理の管理のみで対応可能な業種が対象です。小規模事業者の目安は、食品等の取扱いに従事する者が50人未満の事業場とされており、事務職員など直接食品を取り扱わない人数はカウントされません。

食品ECに関わる事業者の該当性

食品ECの事業形態は、自社で製造・加工を行うケースと、OEM先に製造を委託し、容器包装済みの商品を仕入れて販売するのみのケースに大きく分かれます。確認した自治体の案内では、小規模事業者の類型として、容器包装に入れられた食品のみを貯蔵・運搬・販売する営業者や、小分け販売業者(八百屋・米屋等が例示)が挙げられています。

自社で製造・加工・調理を行わず、完成品を仕入れて販売するだけの食品EC事業者であれば、この類型に近い整理になる可能性があります(【推測】)。一方、自社キッチンでの調理・小分け・ラベル貼りなどの工程を伴う場合は、提供食品の種類や作業内容によって該当区分が変わり得ます。通信販売事業者そのものの扱いについて明記した資料は確認できなかったため、自社がどちらの区分に当たるかは、保健所や専門家に個別に確認することをおすすめします。

食品ECで実務上求められる対応

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が適用される場合、主な対応は次のとおりです。

・厚生労働省が内容を確認した業種別手引書を参考に、衛生管理計画を作成する
・計画の内容を従業員に周知する
・実施記録を作成し、一定期間保存する
・営業許可の更新等に伴う保健所の立入り時に、実施状況を確認できるようにしておく

OEM委託の場合は、製造側の衛生管理体制を契約・監査で確認しつつ、自社の保管・出荷工程(温度管理、賞味期限管理、在庫のロット管理など)についても自社としての記録を残しておくことが望まれます。

違反時のリスク・行政対応

HACCPに沿った衛生管理は食品衛生法上の義務であり、保健所による営業許可更新時の立入り確認等の対象になります。改善が必要と判断された場合は、指導や改善指導の対象となり得ます。自社の対応状況に不安がある場合は、早めに所管の保健所に相談することをおすすめします。

実務対応チェックリスト

・自社は食品の製造・加工・調理を行っているか、完成品の仕入れ販売のみか
・該当する業種別手引書を入手し、衛生管理計画を作成しているか
・計画の周知と記録の保存が継続的に行われているか
・OEM委託先の衛生管理体制を定期的に確認できているか

まとめ

HACCPに沿った衛生管理は、製造・加工・調理に関わる食品等事業者に広く義務づけられた制度です。食品ECの場合は、自社の関与工程(製造するのか、仕入れた完成品を販売するだけなのか)を整理したうえで、該当する区分の対応を進めることが実務上のポイントになります。

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出典

よくある質問

Q1. HACCPはいつから義務化されましたか?
A. 令和2年(2020年)6月1日から、食品の製造・加工・調理等を行う全ての食品等事業者に義務化されています。

Q2. 「HACCPに基づく衛生管理」と「考え方を取り入れた衛生管理」はどう違いますか?
A. 前者はと畜業者・食鳥処理業者など規模等を考慮して対象とされる事業者向けで、7原則に沿った本格的な計画策定が必要です。後者は小規模事業者などが対象で、業種別手引書を参考にした簡易な衛生管理計画で対応します。

Q3. 小規模事業者の基準は何人までですか?
A. 食品等の取扱いに従事する者が50人未満の事業場が目安とされています。事務職員など直接食品を取り扱わない人はカウントされません。

Q4. 完成品をOEMで仕入れて販売するだけの食品EC事業者も対象ですか?
A. 自社で製造・加工・調理を行わない場合、小規模事業者の類型に近い整理になる可能性がありますが、明確な公的資料は確認できておらず【推測】です。保健所への確認をおすすめします。

Q5. 衛生管理計画はどう作ればよいですか?
A. 厚生労働省が内容を確認した業種別手引書が公開されており、これを参考に自社の業態に合わせて作成するのが基本的な進め方です。

Q6. 対応していない場合、すぐに罰則がありますか?
A. 営業許可の更新等に伴う保健所の立入り時に実施状況が確認され、改善が必要な場合は指導の対象となり得ます。不安がある場合は早めに保健所へ相談することをおすすめします。

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