食品を容器に詰めて、あるいは梱包してEC販売する事業者は、容器包装リサイクル法上の「再商品化義務」を負う立場になりうる。ただし小規模な事業者には明確な適用除外基準があり、まず自社がどちらに当たるかを確認することが先決だ。
若松 友貴
一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。
容器包装リサイクル法とは
容器包装リサイクル法(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)は、家庭から排出される容器包装廃棄物の削減とリサイクルを目的に、容器包装を「利用」する事業者(商品の容器・包装をつけて販売する事業者)や「製造」する事業者に、再商品化(リサイクル)の義務を課す法律だ。対象となる容器包装はガラスびん・PETボトル・紙製容器包装・プラスチック製容器包装の4種類で、紙製・プラスチック製は平成12年4月から、ガラスびん・PETボトルは平成9年4月から対象になっている(経済産業省資料)。家庭ごみのうち容器包装廃棄物は、重量で約2〜3割、容積では約6割を占めるとされ、削減の優先度が高い領域とされてきた。
小規模事業者は適用が除外される
すべての事業者が再商品化義務を負うわけではなく、業種別に小規模事業者の基準が設けられている(農林水産省資料)。
- 製造業等:従業員20人以下 かつ 年間売上高2億4,000万円以下
- 商業・サービス業:従業員5人以下 かつ 年間売上高7,000万円以下
食品ECの多くは小売・サービス業に区分されるケースが多いため、従業員5人以下・年間売上高7,000万円以下のどちらかを超えた時点で対象事業者(特定事業者)になりうる、という感覚を持っておきたい。製造部門と卸売部門を兼ねる会社のように複数業種にまたがる場合は、主たる業種で判定されるのが基本的な考え方だ。
再商品化義務の履行方法は3つ
対象事業者になった場合、再商品化義務は次のいずれかの方法で履行する。
- 指定法人ルート:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に再商品化を委託し、委託料金を支払う(最も一般的)
- 独自ルート:自ら再商品化の実施者と契約し、主務大臣の認定を受けて行う
- 自主回収ルート:事業者自身が店頭回収等で容器包装を回収し、主務大臣の認定を受けて再商品化する
独自ルート・自主回収ルートは認定手続きのハードルが高いため、多くの事業者は指定法人ルートで再商品化委託料金を支払う形で義務を履行している。
食品ECの実務で気をつけたいこと
再商品化義務の対象になるかどうかとは別に、プラスチック製容器包装を使う以上は「識別表示マーク」の表示ルールへの対応も必要になる。また、冷凍食品や洋菓子のように緩衝材・保冷材を多用する商材ほど、梱包材の種類と量が再商品化義務の算定や識別表示の対象点数に直結する。送料・梱包コストの設計(本サイトの「クール便」関連記事で扱う内容)と合わせて、容器包装の仕様を決める段階で確認しておくと手戻りが少ない。
まとめ
容器包装リサイクル法は、容器包装を使って商品を販売する事業者に再商品化義務を課す法律だが、小規模事業者(商業・サービス業なら従業員5人以下かつ売上高7,000万円以下)には適用除外がある。対象になった場合は、日本容器包装リサイクル協会への委託(指定法人ルート)が実務上もっとも現実的な選択肢だ。規模が拡大するタイミングで、一度自社が対象事業者に当たるかどうかを確認しておきたい。
梱包・送料設計を含めた食品EC運営の相談は、食品EC運営代行サービスのページも参考にしてほしい。





