結論から言うと、カスタマーハラスメント対策は2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により企業の義務になりました(一部規定は2026年4月1日施行、法律自体の公布は2025年6月11日)。東京都では2025年4月1日に全国に先駆けて「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されており、食品ECのカスタマー対応チーム(電話・メール・SNS・レビュー対応窓口)も、暴言や過度な返金要求、土下座要求といったハラスメントにさらされるリスクがあります。法改正を機に、相談体制と対応マニュアルを整備しておくことが実務上の優先課題です。
若松 友貴
一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先から従業員に対して行われる、社会通念上相当な範囲を超えた言動によるハラスメントを指します。暴言・脅迫・過度な謝罪要求(土下座要求)・長時間の拘束・SNSでの誹謗中傷などが代表例とされています。パワーハラスメントが社内の人間関係で起きるのに対し、カスタマーハラスメントは「顧客」という立場を背景に行われる点が特徴です。
2026年の法改正で何が変わったか
改正労働施策総合推進法は2025年6月11日に公布され、カスタマーハラスメント防止のための措置が事業主に義務付けられました。施行時期は規定により異なり、一部の規定は2026年4月1日、基本となる規定は2026年10月1日に施行されています。パワーハラスメント防止と同様に、事業主には防止体制の整備が求められる改正とされていますが、相談窓口の設置や対応方針の明文化など、措置の詳細な内容は厚生労働省が公表する指針で確認する必要があります。【推測】を含まない確実な情報として押さえておくべきは、公布日・施行日の事実関係であり、具体的な義務項目は一次情報での確認をおすすめします。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例との関係
東京都は、国の法改正に先行して2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しています。都内に拠点を置く食品EC事業者は、国の法律と都の条例の両方を踏まえた体制整備が必要になります。条例の詳細な対象・義務内容は、東京都産業労働局が公表する指針で確認してください。
食品ECのカスタマー対応で起きやすいハラスメント
食品ECのカスタマー対応チームは、次のような場面でハラスメントにさらされやすいと考えられます。
- 品質クレームの電話対応:カビや異物混入などの申し出に対し、過度な謝罪要求や威圧的な言動を受けるケース。
- 低評価レビューへのコメント:商品レビュー欄やSNSで、個人を特定した誹謗中傷を受けるケース。
- 返品・返金交渉:返品特約の範囲を超えた返金を執拗に要求されるケース。
品質クレームが来た際の初動対応は、食品ECのクレーム対応マニュアルで、返品特約の書き方は食品ECの返品特約の書き方でそれぞれ解説しています。カスタマーハラスメント対策は、これらの対応フローと一体で整備すると実務に落とし込みやすくなります。
食品ECが取り組むべき対策の方向性
- 相談窓口を明確にする:対応に困った担当者が一人で抱え込まないよう、エスカレーション先を決めておきます。
- 対応方針を文書化する:どこまで対応し、どこから対応を打ち切るかの基準をあらかじめ決めておきます。
- 記録を残す:電話の録音やチャットログなど、やり取りを記録する仕組みを整えます。
- 担当者のケア体制を用意する:強いクレームを受けた担当者が相談できる体制を社内に用意します。
複数モールのカスタマー対応体制づくりについては、モール運営代行サービスでご相談いただけます。
まとめ
カスタマーハラスメント対策は、2026年10月1日の改正労働施策総合推進法の施行により企業の義務になりました。東京都では条例がすでに2025年4月1日から施行されています。食品ECのカスタマー対応チームは品質クレームやレビュー対応でハラスメントにさらされやすいため、相談窓口・対応方針・記録・担当者ケアの4点を軸に体制を整備することが実務上の優先課題です。
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出典
よくある質問
Q1. カスタマーハラスメント対策はいつから義務になりましたか?
A. 改正労働施策総合推進法により、基本となる規定は2026年10月1日に施行されました。一部規定は2026年4月1日施行です。公布日は2025年6月11日です。
Q2. 東京都の条例とはどう違いますか?
A. 東京都は国に先行して2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行しています。都内の事業者は国の法律と条例の両方を踏まえる必要があります。
Q3. 食品ECではどんな場面でカスタマーハラスメントが起きやすいですか?
A. 品質クレームの電話対応、低評価レビューへのコメント、返品・返金交渉の場面で起きやすいと考えられます。
Q4. 具体的に何を整備すればいいですか?
A. 相談窓口の明確化、対応方針の文書化、やり取りの記録、担当者のケア体制の4点が実務上の基本です。
Q5. 義務の詳細な内容はどこで確認できますか?
A. 厚生労働省が公表する指針や公式資料で、具体的な義務項目を確認することをおすすめします。
Q6. 既存のクレーム対応マニュアルとは別に用意する必要がありますか?
A. 品質クレーム対応とカスタマーハラスメント対策は目的が異なりますが、対応フローは一体で整備すると実務に落とし込みやすくなります。





