食品OEMや卸売で法人顧客に販売する場合、個人向けのクレジット決済だけでなく「掛け払い(請求書払い)」を求められる場面があります。結論として、掛け払いとは代金を後払いにする取引形態で、未回収リスクをどう管理するかが運用の分かれ目になります。自社で与信管理から督促まで行う方法もありますが、近年は代行サービスを使って与信・未回収リスクごと外部に移す事業者が増えています。
若松 友貴
一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。
掛け払いの基本的な仕組み
掛け払いは、商品やサービスを先に提供し、代金はあとでまとめて請求書払いしてもらう取引形態です。自社で掛け払いを運用する場合、取引先ごとの与信調査・請求書発行・入金確認・未回収時の督促までを自社の経理・営業が担う必要があり、取引先が増えるほど業務負荷と貸し倒れリスクが大きくなります。
この負荷とリスクを軽減する手段として、掛け払い代行サービスがあります。代表的なサービスの一つであるNP掛け払いの例では、与信審査・請求書発行・代金回収・入金管理・督促・問い合わせ対応までを代行し、万が一取引先から代金が未回収になった場合も「未回収保証型」として事業者側の負担をなくす仕組みが用意されています。
掛け払い代行サービスの手数料の考え方
掛け払い代行サービスの手数料は、一般的に次のような項目の組み合わせで構成されます(NP掛け払いの公式サイトに記載の例、2026年10月時点)。
- 初期導入費用:0円とされるケースがあります。
- 債権買取手数料:取引額の0.2〜0.5%程度。
- システム利用料(変動):取引額の1.0〜3.1%程度。
- システム利用料(固定):月額12,000円〜。
- 成約サポート手数料:1件あたり0〜252円。
「取り扱い商材や販売方法によって異なる」との注記もあるため、実際の料率は必ず各社の見積りで確認してください。自社で与信管理・督促を内製する体制を持つ余裕がない場合、この手数料は「未回収リスクを外部に移すための保険料」と捉えると判断しやすくなります。
食品ECで掛け払いを検討すべき場面
食品ECで掛け払いが検討されやすいのは、法人向けの卸売・OEM取引、ふるさと納税の返礼品における自治体・事業者間のやり取り、催事・催事場への納品など、継続的な取引関係があるBtoB寄りの販路です。個人向けのEC決済とは与信の考え方が異なるため、EC決済全般の選び方はEC決済とは|食品ECで選ぶべき決済手段とカゴ落ち対策も参考にしつつ、BtoB向け取引だけ別の決済手段を用意するという整理が実務的です。
掛け払いの手数料やその他のコストを加味した最終的な利益は、食品EC利益シミュレーターで試算し、価格や取引条件に無理がないか事前に確認しておくと安心です。
まとめ
掛け払いは代金後払いの取引形態で、自社運用では与信審査から督促までの業務負荷と貸し倒れリスクを負うことになります。NP掛け払いのような未回収保証型の代行サービスを使う場合、債権買取手数料・システム利用料など複数の手数料項目が発生するため、取引額や取扱商材に応じた見積りを取ったうえで、利益への影響を事前に試算することが重要です。
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出典
- NP掛け払い公式サイト(手数料体系・与信保証の仕組み、2026年10月アクセス時点の記載)
よくある質問
Q1. 掛け払いと後払い決済は何が違いますか?
A. 広い意味ではどちらも代金後払いの仕組みですが、掛け払いは主に継続的な取引関係があるBtoB取引で使われる請求書払いを指すことが一般的です。
Q2. 自社で掛け払いを運用する場合、何がリスクになりますか?
A. 取引先ごとの与信調査、請求書発行、入金確認、未回収時の督促までを自社で行う必要があり、取引先が増えるほど業務負荷と貸し倒れリスクが大きくなります。
Q3. 掛け払い代行サービスの手数料はどのくらいですか?
A. サービスや商材によって異なりますが、公式サイトで公開されている例では、債権買取手数料0.2〜0.5%、システム利用料(変動)1.0〜3.1%、固定利用料月額12,000円〜などの組み合わせで構成されています。
Q4. 未回収保証とはどのような仕組みですか?
A. 取引先からの代金が回収できなかった場合でも、代行サービス側が保証して事業者側の未回収損失をなくす仕組みです。保証の対象範囲や上限額は各社・各プランで異なるため、契約前に必ず確認してください。
Q5. 食品ECのどんな場面で掛け払いが必要になりますか?
A. 法人向けの卸売・OEM取引や、継続的な取引関係がある催事・業務用納品など、BtoB寄りの販路で検討されることが多い決済形態です。
Q6. 掛け払いの手数料は利益にどのくらい影響しますか?
A. 取引額に対する料率型の手数料が中心のため、取引規模が大きいほど金額的な影響も大きくなります。導入前に利益シミュレーターなどで試算しておくことをおすすめします。





