食品の自主回収とは|判断基準と、食品ECが取るべき初動対応

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異物混入やアレルゲン表示の誤りなど、食品ECで「出荷済みの商品を回収すべきか」の判断を迫られる場面は避けられない。2021年6月1日施行の改正食品衛生法により、食品等の自主回収(リコール)を行った場合は行政への届出が義務化されている。判断基準と初動対応をあらかじめ整理しておくことが、被害拡大と対応の遅れを防ぐ。

食品ECの運営代行・コンサルティング|ガストロ(GastroduceJapan)
監修者

若松 友貴

GastroduceJapan株式会社 代表取締役社長

一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。

食品の自主回収とは

食品の自主回収とは、食品衛生法に違反する、またはそのおそれがある食品等を、事業者が自らの判断で市場から回収することを指す。2021年6月1日からは、事業者がリコールを行う場合に行政への届出を行うことが法律で義務づけられており、国の「食品衛生申請等システム」を通じて届け出る仕組みになっている(厚生労働省)。届出情報は健康被害の発生防止のため、行政による監視指導や消費者への情報提供に活用される。

クラス分類で健康被害リスクを3段階に区分

届け出られた自主回収情報は、健康被害発生の可能性に応じてクラス分類される。食品衛生法関連では次の3段階だ(浜松市等の自治体公開資料に基づく)。

  • クラスⅠ:喫食により重篤な健康被害または死亡の原因となり得る可能性が高い場合(例:腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜、硬質異物の混入など)
  • クラスⅡ:重篤な健康被害・死亡の可能性が低い場合(例:一般細菌数などの成分規格に適合しない食品)
  • クラスⅢ:健康被害の可能性がほとんど無い場合(例:添加物の使用基準違反など)

食品表示法に関する表示違反(アレルゲン表示の誤りなど)については別途2段階のクラス分類があり、アレルゲンや特定成分の表示誤りで直ちに生命・身体に危害が生じうるものはクラスⅠに区分される。

食品ECが自主回収を判断する際の初動対応

自主回収が必要かどうかの判断自体は、原因究明や製造者との連携を要する専門的な判断になるため、食品衛生法に照らした最終判断は保健所や専門家と相談のうえ行う必要がある。そのうえで、ECサイトを運営する立場として実務上押さえておきたい初動は次の通りだ。

  • 対象ロット・販売期間・販売チャネル(自社EC、モール各社)を特定し、出荷データから購入者を洗い出す
  • 回収に着手した時点で、遅滞なく食品衛生申請等システムから届出を行う(自治体によっては国システムが使えない場合は保健所に直接相談)
  • 商品ページの該当SKUを非表示・販売停止にする(カート内の在庫も含めて二重販売を防ぐ)
  • 購入者への告知文面(回収理由・返金方法・問い合わせ窓口)を用意し、メール・同梱物・サイト掲示など複数チャネルで通知する
  • 返金・返品対応のフローをクレーム対応窓口と共有し、問い合わせの一次対応が止まらないようにする

施行日(令和3年6月1日)より前に着手した回収は、この届出義務の対象外とされている点も実務上の整理として押さえておきたい。

まとめ

食品の自主回収は、2021年6月の法改正で「行った場合は届け出る」ことが義務になっている。健康被害のリスクはクラスⅠ〜Ⅲ(食品表示法はⅠ・Ⅱ)で区分され、重篤なものほど迅速な対応が求められる。EC事業者としては、対象ロットの特定・商品ページの停止・購入者への通知・返金フローの4点を、保健所や製造者との連携と並行して同時に動かせる体制を事前に用意しておきたい。

クレーム対応や在庫管理の体制づくりも含めた食品EC運営支援については、食品EC運営代行サービスのページも参考にしてほしい。

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