通信販売酒類小売業免許とは|食品ECで酒類を販売するための要件と申請の流れ

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食品・飲料をECで販売する事業者が「酒類もセットで売りたい」と考えたとき、一般酒類小売業免許だけでは通信販売はできない。ネット・カタログ・新聞広告などで2都道府県以上の広範囲に酒類を売る場合は「通信販売酒類小売業免許」が別途必要になる。販売できる酒類の範囲にも制限があり、国産酒類は年間の課税移出数量が全て3,000kl未満の「特定製造者」が造ったものに限られる(輸入酒類は制限なし)。

食品ECの運営代行・コンサルティング|ガストロ(GastroduceJapan)
監修者

若松 友貴

GastroduceJapan株式会社 代表取締役社長

一橋大学商学部卒業後、2014年に楽天株式会社へ入社し、楽天市場ECコンサルタントとして累計1,000社超を担当。2017年に食品EC特化の実行型コンサルティング会社GastroduceJapan株式会社を設立。現在はTikTok Shop公認パートナー(TSP)として60店舗以上を支援し、支援店舗群の月間流通総額は3.5億円を超える(2026年6月時点)。食品カテゴリー初のTikTok Shop「松屋フーズデー」の企画・運営や、「TikTok上半期トレンド大賞2026」ヒットアイテム部門受賞商品の支援を手がけ、2025年にはTikTok食品カテゴリ日商ランキング上位10商品のうち6商品を支援ブランドが占めた。日経MJ一面トップにも掲載。

通信販売酒類小売業免許とは

通信販売酒類小売業免許は、2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象に、カタログ・チラシ・インターネットなどで販売価格や支払方法等を提示し、郵便等の通信手段で酒類の注文を受けて販売するための免許である(国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引き」)。同一都道府県内のみで通信販売を完結する場合は、一般酒類小売業免許(通信販売を除く条件が付いていないもの)で足りるケースもあるが、EC事業者が全国発送を行う前提ではこの免許が必須になる。

販売できる酒類の範囲に制限がある

免許を取っても「どんな酒類でも売れる」わけではない点に注意したい。

  • 国産酒類:カタログ等の発行年度の前会計年度において、品目ごとの課税移出数量が全て3,000kl未満の製造者(特定製造者)が製造したものに限定。かつ、その製造者から通信販売の対象である旨の証明書の発行を受ける必要がある。
  • 輸入酒類:数量の制限はない。

つまり、大手ナショナルブランドの酒類を幅広く仕入れて自社ECで通信販売する、という使い方は想定されておらず、地方の中小蔵元・メーカーの酒類や輸入酒が中心になる制度設計だ。

免許取得の要件(人的要件・経営基礎要件)

酒税法10条に基づく要件のうち、EC事業者が特に確認すべき数値基準は次の通り。

  • 申請前2年以内に、国税・地方税の滞納処分を受けていないこと
  • 過去に免許取消処分を受けた場合、取消日から3年を経過していること
  • 最終事業年度の繰越損失が資本等の額を超えていないこと
  • 過去3事業年度のすべてで、各年度の当期純損失が資本等の額の20%を超えていないこと
  • 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていないこと

創業間もない食品EC事業者で、酒類販売を主要な柱にする予定がない場合でも、財務要件は必ず事前に確認しておきたい。

申請の流れ・必要書類・審査期間

申請先は販売場所在地を所轄する税務署長(酒類指導官が窓口になることが多い)。標準処理期間は、申請書類が提出された日の翌日から2か月以内(書類の補正にかかった期間は除く)とされている。登録免許税は1件につき3万円だが、すでに「通信販売を除く」条件付きの一般酒類小売業免許を持っていて2都道府県以上への拡大のために条件緩和を申し出る場合は、登録免許税は不要となる。

主な提出書類は、酒類販売業免許申請書(次葉1〜6)、免許要件誓約書、履歴書、定款の写し、納税証明書、最終事業年度以前3事業年度の財務諸表、賃貸借契約書等の写し、酒類の説明書・カタログのレイアウト案など。書類は一度提出すると原則返却されないため、控えを必ず残しておくこと。

TikTok ShopなどモールECで酒類を扱う場合の注意点

TikTok Shopのように、ライブ配信・ショート動画経由での販売を前提とするモールでは、酒類は「招待を受けた公式ショップアカウントのみ」が扱える特別カテゴリーとして運用されている。通信販売酒類小売業免許などの許可書類を提出し、プラットフォーム側の審査を通過する必要があるほか、広告ターゲットを20歳以上に設定する、「20歳未満の飲酒は法律で禁止されています」等の注意書きを表示する、出演者が実年齢・外見ともに20歳未満に見えないようにする、といった追加ルールが課されることが多い。これは当社が運用で確認している挙動(2026年10月時点)であり、モールごとに条件が変わりうるため、出店・出品前に必ず各モールの最新の公式ガイドラインを確認してほしい。

まとめ

食品ECで酒類の通信販売に乗り出すなら、(1) 2都道府県以上に売るなら通信販売酒類小売業免許が別途必要、(2) 国産酒類は年間移出数量3,000kl未満の特定製造者のものに限定、(3) 財務要件(当期純損失・繰越損失の基準)を事前にクリアできるか、(4) 審査は標準2か月かかる前提でスケジュールを組む、の4点を押さえておきたい。モールへの出店・出品を伴う場合は、免許取得後にプラットフォーム側の個別審査も別途必要になる。

食品ECの運営体制づくりやモール横断での販売戦略について相談したい場合は、食品EC運営代行サービスのページも参考にしてほしい。

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