食品EC用語集|楽天・Amazon・Yahoo!・TikTok Shopの実務用語をまとめて解説

食品ECの現場で日常的に使われる用語を、実務での意味に絞って解説します。「辞書的な定義」ではなく、「その言葉が出てきたとき、何を判断すればいいのか」まで書いています。食品特有の論点があるものには、その注意点も添えました。

モール共通

掛率(かけりつ)KAKERITSU
卸価格が定価(上代)の何%にあたるかを示す比率。「掛率60%」は定価の60%で卸すという意味で、残りの40%が販売側の粗利になります。食品の場合、賞味期限が短い商材ほど掛率が下がる(=卸価格が安くなる)傾向があります。自社ECとモールで掛率を変えると、価格差が露見して信頼を失うため、チャネル間の整合は必ず取ってください。
上代・下代(じょうだい・げだい)
上代はメーカー希望小売価格、下代は卸価格。掛率は「下代 ÷ 上代」で計算します。
EC化率
ある商品カテゴリの全商取引のうち、EC経由が占める割合。食品カテゴリのEC化率は他カテゴリに比べて低く、これは裏を返せば伸びしろが大きいことを意味します。最新の数値は経済産業省の電子商取引に関する市場調査で確認できます。
モール型EC/自社EC
モール型は楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングのように集客力のある場所に出店する形態。自社ECは独自ドメインで運営する形態。モール型は集客が楽な代わりに手数料と価格競争があり、自社ECは手数料が低い代わりに集客を自力で作る必要があります。食品は「モールで認知を取り、自社ECでリピートを回す」の二段構えが定石です。
ささげ業務
「撮影・採寸・原稿」の頭文字。商品をECに載せるための準備作業の総称です。食品では採寸の代わりに「内容量・原材料・アレルゲン・栄養成分」の整理が入るため、一般的な物販より原稿工数が大きくなります。
サムネイル(第一画像)
検索結果一覧に表示される1枚目の画像。クリック率を決める最大の要素です。食品では「シズル感」「量が伝わること」「価格の納得感」の3点が揃っているかで差が出ます。
CVR(転換率)
訪問者のうち購入に至った割合。「アクセスはあるのに売れない」場合はCVR、「そもそも人が来ない」場合はアクセス数を疑います。順番を間違えると改善が空振りします。
客単価(AOV)
1回の注文あたりの平均購入金額。食品ECでは送料が固定費的に効くため、客単価を上げることが粗利改善に直結します。セット販売・まとめ買い割引・送料無料ラインの設計が主な打ち手です。

楽天市場

RPP広告(Rakuten Promotion Platform)
楽天市場の検索連動型広告。検索結果の上位枠に商品を表示させるクリック課金型の広告です。入札単価とROASを見ながら調整しますが、食品の場合はギフト商戦の時期に単価が跳ね上がるため、商戦前に予算を厚く積んでおく設計が要ります。
クーポンアドバンス広告
クーポンを発行し、その利用実績に応じて費用が発生する成果報酬型の広告。値引き原資と広告費が連動するため、粗利を守りながら露出を作れるのが利点です。
TDA(ターゲティングディスプレイ広告)
楽天市場内のディスプレイ枠に配信するバナー広告。購買データに基づくターゲティングができます。
SOY(SHOP OF THE YEAR)
楽天市場が年間の優秀店舗を表彰する制度。ジャンル別に選出され、受賞するとバッジが表示され、信頼性が大きく向上します。売上だけでなくレビュー数・評価・顧客対応も評価対象です。
ショップ・オブ・ザ・マンス
月間のジャンル別優秀店舗の表彰。SOYより頻度が高く、店舗の勢いを示す指標として使われます。
お買い物マラソン/スーパーSALE
楽天市場の大型販促イベント。複数店舗での買い回りでポイント倍率が上がる仕組みのため、この期間は「まとめ買いの1店舗」に選ばれるかが勝負になります。イベント直前の値上げは景品表示法上の問題になり得るため行いません。
SPU(スーパーポイントアッププログラム)
楽天の各サービス利用状況に応じて購入者のポイント倍率が上がる制度。店舗側が直接コントロールできるものではありませんが、購入者の実質負担額に影響するため、価格設計の前提として理解しておく必要があります。
R-SNS(楽天のSNS連携)
店舗がSNSアカウントと連携して情報発信する仕組み。ファン化・リピート導線として使います。
タグID
楽天市場の商品に付与する属性情報。検索の絞り込みに使われるため、設定漏れがあると該当する検索結果から外れます。食品では「産地」「調理方法」「アレルゲン」などが該当します。

Amazon

FBA(フルフィルメント by Amazon)
在庫をAmazonの倉庫に預け、保管・梱包・配送・カスタマー対応を代行してもらう仕組み。食品の場合は賞味期限管理のルールがあり、期限が近い在庫は納品できない・返送されるといった制約があるため、回転の見込みが立つ商品から順に入れるのが基本です。
スポンサープロダクト広告
Amazonの検索結果・商品ページに表示されるクリック課金型広告。キーワードターゲティングと商品ターゲティングがあります。
カタログ(商品ページ)/相乗り
Amazonは1つの商品に対して1つのカタログページを共有する構造で、同じ商品を複数の出品者が販売する状態を「相乗り」と呼びます。メーカー自身が販売する場合はブランド登録で保護するのが基本です。
ブランド登録(Amazon Brand Registry)
商標を登録することでブランドオーナーとしての権限を得る制度。A+コンテンツやブランドストアなど、表現の幅が広がります。
A+コンテンツ
商品ページに画像とテキストのリッチな説明を追加できる機能。食品では原材料へのこだわりや調理シーンを伝える枠として効きます。
セラーセントラル/ベンダーセントラル
前者は自社で販売する出品者向け、後者はAmazonに卸す取引先向けの管理画面。どちらで取引しているかで打てる施策が変わります。

Yahoo!ショッピング

ストアクリエイターPro
Yahoo!ショッピングの店舗管理ツール。商品登録・在庫・受注・販促設定を行います。商品スペックやカテゴリの設定精度が検索露出に直結するため、空欄のまま運用している店舗は取りこぼしが大きくなります。
アイテムマッチ
Yahoo!ショッピングの検索連動型クリック課金広告。除外キーワードの設定を触らないまま回すと、購入意図のない流入に費用が流れます。
PRオプション
売上に対する料率を自店で設定し、その分だけ検索順位が優遇される仕組み。料率は自由に設定できるため、粗利と露出のバランスを自分で決める設計になります。
PayPayポイント原資
Yahoo!ショッピングの購入者はポイント還元への感度が高く、同じ実質値引きでも「本体価格の値下げ」より「ポイント倍率」のほうが動くことが多いモールです。原資をどこに置くかで反応が変わります。
5のつく日/ぞろ目の日
Yahoo!ショッピングの定期的な販促日。月内に複数の山があるため、在庫とポイント原資を山ごとに割り振る設計が必要です。
BEST STORE AWARDS
Yahoo!ショッピングの年間優秀店舗表彰。部門別に選出されます。

TikTok Shop

TSP(TikTok Shop Partner)
TikTok Shopが認定する公認パートナー。運用代行やクリエイター連携などの領域ごとに認定されます。GastroduceJapanは食品カテゴリ特化のTSPです。
TAP(TikTok Shop アフィリエイトプログラム)
クリエイターが商品を紹介し、販売実績に応じて報酬を受け取る仕組み。報酬率の設計と、誰にサンプルを渡すかの選定が成果を分けます。食品はサンプル原資が直接コストになるため、実績のあるクリエイターに絞る判断が重要です。
GMV
Gross Merchandise Value(流通総額)。返品・キャンセル前の総取引額を指します。
GMV MAX
TikTok Shopの自動最適化型の広告配信。クリエイティブと商品を投入すると配信が自動で最適化されます。
ショート動画コマース/LIVEコマース
前者は編集済みの短尺動画から購入導線を作る手法、後者はライブ配信中にリアルタイムで販売する手法。食品は「調理・実食」の映像が強いため、両方と相性が良いカテゴリです。
ザ・ブランドデー
TikTok Shopがブランド単位で実施する大型販促企画。食品カテゴリーでは松屋フーズデー・モスバーガーデーが実施されました。
UGC
User Generated Content。ユーザーやクリエイターが自発的に作るコンテンツ。広告色が薄いぶん信頼されやすい反面、PR案件の場合はステマ規制上の表記義務が生じます。

食品・物流

三温度帯(常温・冷蔵・冷凍)
食品物流の基本区分。温度帯が違う商品は同梱できないため、常温と冷凍を同時購入されると送料が2件分かかります。セット商品を組むときは温度帯を揃えるのが原則です。
クール便
冷蔵・冷凍で配送するサービス。常温便との差額が1件あたりの粗利を直接削るため、送料設定に反映していないと売れるほど赤字になります。利益シミュレーターで実額を確認してください。
三分の一ルール
製造日から賞味期限までの期間を3分割し、最初の1/3以内に小売へ納品する商慣行。EC単体では必ずしも適用されませんが、卸・小売と併売している場合は在庫の玉突きに影響します。
賞味期限/消費期限
賞味期限は「おいしく食べられる期限」、消費期限は「安全に食べられる期限」。おおむね5日以内に品質が劣化する食品には消費期限を表示します。ECでは残存期限の記載方針を統一しておかないとクレームの原因になります。
アレルゲン表示
特定原材料等の表示。商品ページでの記載漏れは信頼問題に直結します。ささげ工程で必ずチェック項目に入れてください。
のし・ギフト対応
食品ギフトでは必須級のオプション。対応可否と追加料金、注文フローでの選択方法を明示しておかないと、商戦期に問い合わせが集中します。
同梱・送料無料ライン
「◯◯円以上で送料無料」の設定。送料実費を吸収できない客単価で設定するのが、食品ECで最も多い赤字要因です。
OEM/PB(プライベートブランド)
OEMは他社ブランドの製品を製造すること、PBは販売者自身のブランドで作ること。EC前提の商品設計では、価格帯・配送形態・セット構成・賞味期限を最初から織り込みます。

数値・指標

ROAS
Return On Advertising Spend。広告費に対する売上の倍率で、「売上 ÷ 広告費」で計算します。ROAS 5倍は、広告費1万円で売上5万円という意味です。粗利率を無視して目標ROASを決めると赤字になるため、必ず損益分岐ROASと並べて見ます。
損益分岐ROAS
それ以上ROASが下がると赤字になる境界値。粗利率の逆数で概算できます(粗利率20%なら5倍)。食品は送料の影響で粗利率が読みにくいため、商品ごとに算出すべき数値です。
CPA/CPO
1件の獲得(注文)にかかった広告費。ROASが率で見るのに対し、CPAは実額で見ます。単価がバラつく商材ではCPAのほうが判断しやすい場面があります。
LTV
Life Time Value。1人の顧客が生涯にもたらす利益。食品はリピート性が高いため、初回獲得が単体で赤字でもLTVで回収できる設計が成立しやすいカテゴリです。
F2転換率
初回購入者が2回目を購入する割合。食品ECではここが全体の収益性を決めます。同梱物・フォローメール・定期便への導線が主な打ち手です。
粗利率
売上に対する粗利の割合。食品ECでは「販売価格 −(原価+送料+梱包+手数料+ポイント原資+広告費)」で実質粗利を見るのが実務的です。

法令・表示

景品表示法(景表法)
商品の品質や価格について、実際よりも著しく優良・有利だと誤認させる表示を禁じる法律。食品ECでは「日本一」「最高級」といった最上級表現、根拠のない「痩せる」「免疫力アップ」などの効果標榜、過大な景品付与が典型的な論点になります。モール側の審査も景表法を基準に運用されています。
優良誤認/有利誤認
景表法違反の二大類型。優良誤認は品質・規格を実際より良く見せる表示、有利誤認は価格・取引条件を実際より得に見せる表示を指します。ランキング1位表記は、調査対象と期間を明記しないと優良誤認に問われる余地があります。
二重価格表示
「通常価格5,000円→2,980円」のように比較対照価格を併記する表示。比較対照価格には最近相当期間(一般に過去8週間のうち4週間以上)その価格で販売していた実績が必要です。実績のない「メーカー希望小売価格」風の架空定価はセール設計で最も事故が多い箇所です。
ステマ規制
2023年10月に景表法の指定告示として施行された、いわゆるステルスマーケティング規制。事業者が関与した広告であるにもかかわらず、第三者の自発的な発信に見せかける表示が違反になります。インフルエンサー施策やTikTok Shopのアフィリエイト動画では「PR」「広告」「提供」等の明示が必須で、責任を負うのは発信者ではなく広告主である事業者側です。
食品表示法
名称・原材料名・添加物・内容量・賞味期限・保存方法・製造者・栄養成分表示・アレルゲン・原料原産地などの表示ルールを定める法律。EC上では現物のラベルと同じ情報を商品ページ内で確認できる状態にしておくのが実務上の安全策です。
特定商取引法(特商法)
通信販売に関する表示義務を定める法律。事業者名・所在地・連絡先、販売価格、送料、支払方法と時期、引渡時期、返品特約などの記載が必要です。返品特約を明記していない場合、商品到着後8日間は送料消費者負担で返品を受け付ける扱いになります。
健康増進法(誇大表示の禁止)
健康の保持増進効果について、著しく事実に相違する表示を禁じる規定。一般食品に「血圧を下げる」「脂肪を燃焼する」といった保健機能を書くと抵触します。機能性を訴求したい場合は機能性表示食品または特定保健用食品(トクホ)の枠組みを使います。
機能性表示食品/トクホ
機能性表示食品は事業者が科学的根拠を消費者庁に届け出る制度、トクホは国の個別審査と許可を受ける制度。いずれも届出・許可の範囲を超えた表現は使えず、EC上のキャッチコピーもその範囲内に収める必要があります。
酒税法・酒類小売業免許
酒類をECで販売するには通信販売酒類小売業免許が必要で、扱える銘柄にも制限があります。食品とあわせて酒類を販売する場合、免許区分と表示義務(未成年者飲酒禁止の表示など)を事前に確認します。
インボイス制度
2023年10月開始の適格請求書等保存方式。BtoB比率が高い食品事業者では、登録番号の記載された請求書・領収書を発行できる体制が取引条件になる場面があります。ECモールの販売手数料に係る仕入税額控除の扱いも確認が必要です。

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用語の先にある「実装」まで伴走します

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